木樫蓮

木樫技研の所長です.

パナソニックとシャープの WiFi テレビ

画面とチューナー部が分かれていて WiFi で通信するテレビがある。たいてい画面は小型でバッテリ内蔵。防水にもなっていてキッチンやお風呂などあちこちに持ち運んで使えるので便利。パナソニックやシャープの製品が多いのだが、通信まわりの設計に違いがあって興味深い。

 

WiFi の電波は壁に遮られるなどして不安定になることがある。このときパナソニックのテレビはチューナー側が映像をできるだけバファリングしようとする。そのため通信が不安定になってフリーズした映像は、通信が安定すると続きから再生される。一方シャープのテレビはあまりバファリングをしない。そのため通信が不安定になっていたあいだの映像は失われる。

 

これはシャープよりもパナソニックが優れているとかそういう議論ではなく、設計思想の違いに過ぎない。パナソニックの設計では映像が失われない反面、フリーズした時間が蓄積して実時間から遅れていく。シャープの設計では逆にリアルタイムの映像が見られる反面、フリーズした時間は失われる。どちらの設計が適しているかはコンテンツの性質による。ドラマのように途切れると意味がわからなくなるようなコンテンツにはパナソニックの設計が適しており、災害のライブ中継などリアルタイム性が重要なコンテンツにはシャープの設計が適している。理想を言えばバファリングする時間をユーザーが設定できればよいのだが、こういった民生機器がターゲットとしているユーザー層にとっての適正価格とコストを考えれば、それはオーバースペックというものだろう。

 

—KGR